「モモ、歩いて帰るよ。寒いかな?」
カゴの中のモモはタオルにくるまっている。これなら大丈夫だろう。
私は、少々季節感がないような厚手の洋服を着ているし、ここから歩いても20分位だ。
モモも軽い。大丈夫だ。
軽快に歩く事は出来ないまでも、ふら付くことはない。
周りの人を気にしながら、モモに話をする。
「黒川!」
その声は橘君だった。
後ろを振り向くと、いつものクロックスのサンダルで走って来ていた。
「はあ、はあ、待てよ」
息を切らし、走って来た。
何か用でもあったのだろうか。
「何だよこれ」
そう言って、差し出したのは、あのコンビニで買って来てくれた食事の代金だった。
「あ、ごめんなさい。足りなかったかな」
「そうじゃないだろ……?」
そうじゃない。私には、他に思い浮かぶことがない。どうしたらいいのだろう。ハッキリと言ってほしい。
「これは返す」
そう言って、橘君は私の手を取って、その封筒を握らせた。
意味が解らず、私は、自分の手をじっとみた。やはり不快な思いをさせてしまったようだ。
ふと、額に手の温もりが感じられた。
「熱は下がったな。歩きで来たの?」
「そう」
「まだ、顔色が悪いよ」
そう言うと、私から、モモのカゴを取って、病院に向かって歩き出す。
まだ、モモに何か足らないことがあったのだろうか。お父さん先生はそんなことは言っていなかった。
だけど、いつもと違う橘君に私は、黙って後を歩いた。
背中をみて歩くのは初めてだけど、案外背が高い。それに、着こんでいる私とは反対に、半袖の病院着だった。寒くないのだろうか。ふと、それを考えるけれど、歩くのが早い。
まだ、本調子じゃない私は、その速度に追いつけない。
カゴの中のモモはタオルにくるまっている。これなら大丈夫だろう。
私は、少々季節感がないような厚手の洋服を着ているし、ここから歩いても20分位だ。
モモも軽い。大丈夫だ。
軽快に歩く事は出来ないまでも、ふら付くことはない。
周りの人を気にしながら、モモに話をする。
「黒川!」
その声は橘君だった。
後ろを振り向くと、いつものクロックスのサンダルで走って来ていた。
「はあ、はあ、待てよ」
息を切らし、走って来た。
何か用でもあったのだろうか。
「何だよこれ」
そう言って、差し出したのは、あのコンビニで買って来てくれた食事の代金だった。
「あ、ごめんなさい。足りなかったかな」
「そうじゃないだろ……?」
そうじゃない。私には、他に思い浮かぶことがない。どうしたらいいのだろう。ハッキリと言ってほしい。
「これは返す」
そう言って、橘君は私の手を取って、その封筒を握らせた。
意味が解らず、私は、自分の手をじっとみた。やはり不快な思いをさせてしまったようだ。
ふと、額に手の温もりが感じられた。
「熱は下がったな。歩きで来たの?」
「そう」
「まだ、顔色が悪いよ」
そう言うと、私から、モモのカゴを取って、病院に向かって歩き出す。
まだ、モモに何か足らないことがあったのだろうか。お父さん先生はそんなことは言っていなかった。
だけど、いつもと違う橘君に私は、黙って後を歩いた。
背中をみて歩くのは初めてだけど、案外背が高い。それに、着こんでいる私とは反対に、半袖の病院着だった。寒くないのだろうか。ふと、それを考えるけれど、歩くのが早い。
まだ、本調子じゃない私は、その速度に追いつけない。



