「よっ、やっぱりこの時間にきたね」
自転車に鍵を差し込み、カゴにバッグを入れると、橘君が私服姿で、声をかけてきた。
Tシャツと短パン姿の橘君は、まだ大学生といってもいいくらい若く見えた。
もう、どうしているのだろう。せっかく避けて来たのに意味がないではないか。
「避けたつもりだろうけど、この上、俺ん家なんだ」
そうか、わざわざ来たわけじゃなく、「家」だったのか。そこは、私も考えが及ばなかった。
私は、降参して、話しを聞くことにした。
「そこは日差しが強いだろ? こっちが日陰だ」
橘君は、私の自転車を病院の駐車場にある日陰に移した。
「ほら、卒アル。これが俺」
何か持っていると思ったら、卒業アルバムだった。指で挟んでいて、すぐに開ける様にしてあった。
どうでもよかったが、せっかく持って来ていたので、見ることにする。
「興味がないだろ」
また、当てられた。
仕方がない、これは橘君の能力だと諦めるしかない。
卒業アルバムでクラスメイトの顔写真が一人一人載っている所を見ると、橘君の顔があった。
目に入ってしまった私の顔写真もあった。すでに何も期待していない顔をしている。これが私だ。
確かにクラスにいた。高校生の橘君の顔を見ると、その当時のことを少しだけ思い出す。
いつも、いつも声をかけてきた男子がいた。
適当にあしらっていたはずだ。会話も、もちろんしていない。
橘君だったんだ。声をかけて来ていたのは。
「少し思い出した? しつこいかなと思っていたんだ、だけど、何だか気になって声をかけていたんだ」
自転車に鍵を差し込み、カゴにバッグを入れると、橘君が私服姿で、声をかけてきた。
Tシャツと短パン姿の橘君は、まだ大学生といってもいいくらい若く見えた。
もう、どうしているのだろう。せっかく避けて来たのに意味がないではないか。
「避けたつもりだろうけど、この上、俺ん家なんだ」
そうか、わざわざ来たわけじゃなく、「家」だったのか。そこは、私も考えが及ばなかった。
私は、降参して、話しを聞くことにした。
「そこは日差しが強いだろ? こっちが日陰だ」
橘君は、私の自転車を病院の駐車場にある日陰に移した。
「ほら、卒アル。これが俺」
何か持っていると思ったら、卒業アルバムだった。指で挟んでいて、すぐに開ける様にしてあった。
どうでもよかったが、せっかく持って来ていたので、見ることにする。
「興味がないだろ」
また、当てられた。
仕方がない、これは橘君の能力だと諦めるしかない。
卒業アルバムでクラスメイトの顔写真が一人一人載っている所を見ると、橘君の顔があった。
目に入ってしまった私の顔写真もあった。すでに何も期待していない顔をしている。これが私だ。
確かにクラスにいた。高校生の橘君の顔を見ると、その当時のことを少しだけ思い出す。
いつも、いつも声をかけてきた男子がいた。
適当にあしらっていたはずだ。会話も、もちろんしていない。
橘君だったんだ。声をかけて来ていたのは。
「少し思い出した? しつこいかなと思っていたんだ、だけど、何だか気になって声をかけていたんだ」



