「ずっと毛が無い状態だったから、バスタオルの中に居ないと寒かったんだね」
そうか、橘君はそうは言っていなかったけど、さすが研修医と見解が違う。
橘君は私の匂いと言った。それはそれで嬉しかったから、責めはしない。でも、もしかしたら、寂しがっている私を見て、優しい橘君だ、気を使ってそう言ってくれたのかもしれない。
「まだ、可哀想なくらい毛がないですね」
「そう簡単には生えないよ」
「そうですね」
「もう一人の橘先生にも聞いていると思うけど、来週は退院していいですよ。その代り、怪我の消毒にはかさぶたが取れるまで毎日通って下さい」
「わかりました」
退院できるのだ、毎日の通院くらいどうってことはない。
モモだって、こんなゲージの中に居るより、私の所にいる方がいいに決まっている。
いつものようにモモを抱くと、お父さん先生は、病室から出て行った。
きっと気の済むまでいたらいいということだろう。
橘君はずっと傍にいたから、モモとゆっくり話ができなかった。
でも今日は、話しが出来る。
会話を拒んできた私が、話しが出来ることが嬉しいなんておかしい。
「モモ、今日はね、昨日よりお外が暑いのよ? お家に来たら、クーラーがきいて快適な生活を送れるからね」
私の話をモモは喉をゴロゴロと鳴らしながら聞いていた。
モモの為に用意した物や、自分の生活の話しをした。気がつけば、凄く長い時間をいてしまったような気がして、慌てた。
きっと、お隣の患者犬も話を聞いていただろう。
「モモ、遅くなったらダメだから、帰るね。また明日くるから。明日は、夜になっちゃうけど、良い子にしているのよ」
私は、モモの頭にキスをして、そっとゲージに戻した。
診察室を通って待合室に出ると、受付の人に遅くなってしまったことを謝る。
「いいえ、大切な家族ですものね。構いませんよ」
「大切な家族」その言葉が私の胸を熱くした。
お父さん先生は診察中で、挨拶はできなかったけれど、受付の人によろしくお伝えくださいと伝言を頼み、病院を出た。
そうか、橘君はそうは言っていなかったけど、さすが研修医と見解が違う。
橘君は私の匂いと言った。それはそれで嬉しかったから、責めはしない。でも、もしかしたら、寂しがっている私を見て、優しい橘君だ、気を使ってそう言ってくれたのかもしれない。
「まだ、可哀想なくらい毛がないですね」
「そう簡単には生えないよ」
「そうですね」
「もう一人の橘先生にも聞いていると思うけど、来週は退院していいですよ。その代り、怪我の消毒にはかさぶたが取れるまで毎日通って下さい」
「わかりました」
退院できるのだ、毎日の通院くらいどうってことはない。
モモだって、こんなゲージの中に居るより、私の所にいる方がいいに決まっている。
いつものようにモモを抱くと、お父さん先生は、病室から出て行った。
きっと気の済むまでいたらいいということだろう。
橘君はずっと傍にいたから、モモとゆっくり話ができなかった。
でも今日は、話しが出来る。
会話を拒んできた私が、話しが出来ることが嬉しいなんておかしい。
「モモ、今日はね、昨日よりお外が暑いのよ? お家に来たら、クーラーがきいて快適な生活を送れるからね」
私の話をモモは喉をゴロゴロと鳴らしながら聞いていた。
モモの為に用意した物や、自分の生活の話しをした。気がつけば、凄く長い時間をいてしまったような気がして、慌てた。
きっと、お隣の患者犬も話を聞いていただろう。
「モモ、遅くなったらダメだから、帰るね。また明日くるから。明日は、夜になっちゃうけど、良い子にしているのよ」
私は、モモの頭にキスをして、そっとゲージに戻した。
診察室を通って待合室に出ると、受付の人に遅くなってしまったことを謝る。
「いいえ、大切な家族ですものね。構いませんよ」
「大切な家族」その言葉が私の胸を熱くした。
お父さん先生は診察中で、挨拶はできなかったけれど、受付の人によろしくお伝えくださいと伝言を頼み、病院を出た。



