瀬戸の話を遮ろうとするが、
「冷蔵庫にある私のプリン食べたの榊田君でしょ?別に恨んでないから。期間限定商品だったからって私は恨んでないから!」
瀬戸はそう言って笑った。
目は吊り上っていた。
バイト中に小腹が空いて冷蔵庫を開けるとプリンが入っていた。
瀬戸の名前が大きく書かれていた。
瀬戸のなら良いかと、食べた。
確かに犯人は俺だ。
「たかが、プリンで」
俺は瀬戸を睨みつけたら。
その倍の睨みが返された。
「たかが?……そう。そうね。榊田君にとってはそうね。そのたかがプリンを食べるなんて!」
瀬戸の恨みの深さを感じた。
食べ物の恨みは恐ろしい。
水野の前で話されなくて、助かった。
「榊田。あんたも女に節操なしだったわけか!しかもかなり性質の悪い。小夜、もっと早く教えなさいよ、こんな面白い話!」
にやんと、嫌な笑みを上原は浮かべた。
弱みを握られた瞬間だった。
逆に、騒ぐかと思った広也は苦笑いしながら、俺を庇った。
不思議に思ったが、人ごととは思えなかったからだろうと深く考えなかった。
後に、わかったことだが。
広也はその噂をもうすでに他の人物から聞いていたから驚かなかったのだ。
俺に対してやましさがあったから庇ったというわけだ。
この事実を知った時、広也を蹴飛ばした。

