翌日、朝八時を過ぎた頃、俺は起きる。


 布団を片付けて、水野の顔を覗き込む。


 のん気な顔をしてのん気に寝ている。


 とりあえず、薬とオレンジジュースを買いに行ってから、朝食を作る。


 二日酔いにはしじみの味噌汁が良いだろう。


 水野が起きたら、おかゆを作ってやれば良い。


 俺は自分の朝食に納豆と漬物を用意し、味噌汁をすすった。


 水野が起きたのは十一時。


 ゾンビのような唸り声を上げた。


 水野に顔を向けると、長い髪は逆立ち、顔色は青白く、目は左右大きさが違う半開き。


 姿もゾンビだった。



「う~う~あだま痛~いぃ」



「酒を大量に飲んだからだ」



「ぞれに、何か臭~いぃ」



「それは酒と煙草の臭いと、自分の嘔吐の臭いだな」



「う~ざいあく」



 それは俺が言うべきセリフだ。



「おかゆ食えるか?」



「う~ぞれよりお風呂入りだいから、がえる」



 そう言って、水野はベッドから這って下りる。



「どうやって帰る気だ。風呂なんか後にしろ」



「わがってないわ。顔を洗わずに寝だのよ。肌荒れ、ニキビの大敵よ」



「もう、しっかりニキビができてるぞ」



 額にばっちり赤い腫れ物が。


 こいつは美容にこだわりがあるらしく、手入れは念入り……と本人は言っていた。


 肌荒れより、危険察知機能の故障具合を気にかけろよ。



「ぞんな~!!これ以上、ごんな姿でいたら、取り返しがづかなくなるぅ~」



「……わかった。俺の家の風呂使え。服も美玖のがある」



「だすがる~上がったら、おがゆも食べるぅ~」



 私服より、こいつはスウェットのほうが良いだろうと手渡すと、水野はふらふらのそのそ風呂場へと消えていった。


 本当に何なんだこの女は!?


 どうしてこの女なんだ!?


 マイナスイオンなんてクソ食らえ!