外に出て、辺りを見渡す。


 どこにも二人らしき影は見つからない。


 とりあえず駅のほうに走り出す。


 あの水野を連れてじゃ、数分でそう遠くには行けないはずだ。


 だが、まったく見当たらない。


 まさか、タクシーに乗ったのか、嫌な汗を掻く。


 汗で滑る手で携帯を取り出し、水野に電話をかけようとしたところで、電話が鳴る。



「いたぞ。駅とは反対。コンビニの裏手だ」



 広也はそれだけ言うと電話を切った。


 言われた場所に広也を見つけ、立ち止まる。


 その数メートル先には蹲る水野と、その背中を擦る男がいた。



「で、どうするんだ?」



 広也の言葉には答えず、二人を眺める。


















「う~う~ぎもぢ悪い」



「自棄酒には付き合うとは言ったけど、介抱するとは言ってないぞ」



 男は呆れていながらも、同情の眼差しを送った。



「今日は俺の家に泊まれ。電車乗れないだろ?」



 気持ち悪いだけで、意識はしっかりあるようだ。


 いくら馬鹿でも男の家に泊まるなんて言うことはしないはず。



「う~う~でんじゃにも乗れないけど、歩けないぃ~」



「手間がかかるやつだな。ほれ、おぶってやる」



 そう言って、男は大きな背中を水野に向けた。



「う~寛太とづき合ってれば良かったぁ~」



「お前、相当酔ってるな」



 苦笑いの男の肩に水野は手をかけた。



「うぅ~優しさが、身にじみるぅ……えっ…」



 俺は水野の後ろ襟を勢い良く引っ張った。


 そのまま水野は尻餅を付き、驚いたように俺を見上げた。



「ざ、ざがきだ君?どうじてここに?……うぇ~え~きもぢ悪いぃ~」



 蔑んでいることを隠さず水野を一瞥してから、男を見る。



「こいつは俺が送っていく。あんたは必要ない」



 男はあっけに取られたように俺を見た。



「おい!お前誰だよ?小春の知り合いか?」



「こいつの彼氏だ。わかったなら、とっとと帰れ」



 俺が殴りたい衝動を我慢できているうちに帰ったほうが身のためだ。