そして、地元にまでそれが伝わり。


 一週間しないうちに、実家にも伝わった。



『俊!一体どういうことなの?本当なの?その子は人間なの?あんたは本当に俊なの?』



 お袋の慌てっぷりに青筋が立った。



『合コンを断る口実だ。強制送還されたくないからな!』



 そう言って電話を切った。


 切る前に、食料を送って欲しいと伝えて。


 抜かりはない。












 上原と瀬戸は他の女友達とオールだ、と生き生きと話していた。



「水野は行かないのか?」


 そう聞いたら、水野は苦笑した。


 代わりに上原が、



「あんたって馬鹿?彼氏持ちを仲間に入れるわけないでしょ?独り者の会よ!」



 なるほど。


 世間から見れば、水野は彼氏持ちだ。


 すっかり忘れていた。









 道場の帰り道に、



「クリスマスは仁と会うのか?」



 水野に聞いたら、



「クリスマスの少し前に二人で遊園地に行く」



 そう答えた。


 クリスマスの予定はないが、俺と付き合っていることになっているから、女の会に参加できないらしい。



 参加したい?あはは。小春には榊田君がいるでしょう?


 と言われると、強く言えないらしい。



「まぁ。クリスマスにそう拘ってないから家でのんびり過ごすよ」



 水野はひらひら手を振り去っていった。