「俺の鈴さんが…」

ショボンと顔は見えないが声のトーンで沈んでいるのがわかる。

私は宏大さんのものじゃないんですがね…

「けど今日遊び行ったら帰れよ学校の準備とかあるだろ」

モヒさんはそう言うとフーっとタバコの二本目に火をつけていて。


「…はい」

わかっていたけれど。
あの家に戻るのは嫌だった。

家に帰ってもいつもの様に母はいなくて。
きっと一人だ。

そんなの当たり前だったのになんでこんなに一人になるのが嫌なんだろうか。

そう感傷に浸っていると。

「おっ、着いたぞー」