「…」
家に帰るといつも通りシーンとして自分の物しかなくて。
なんで気づかなかったんだろう。
母の私物なんて一つもないじゃないか。
毎月、月に一度お金を渡しに来る母。
高校生にはとてもじゃないけど多すぎる額のお金。
使わないのが殆どで無駄に溜まったお金。
机の引き出しを開けると今にも溢れそう。
今日くらい贅沢してもバチは当たらない気がする。
いつか使うかなと思って結局使わずじまいのお化粧品。
それを出して丁寧にお化粧を肌に添える。
服なんて波瑠の好み任せで買った服。
それの1着をとり出して真っ黒なワンピースに高いヒール。
波瑠に貰った香水。
全身鏡が玄関にあるけど、どっからどう見ても大人の女性に見える気がする。

