「ただいま、鈴」

私が小さい時から変わらない綺麗な顔はいつもにまして疲れきっていて。

「あ…おかえりなさいママ」
つい、笑顔もぎこちなくなる。

「はい、ここにお金おいておくわね。」

コト、っとテーブルに封筒を置くママは一切こっちを見ないまま。

「あ、」

言葉をかけようにも、こんな時に言いたい言葉が見つからなくて。

「いい子にしてるのよ、お母さんもう仕事に戻るから」

がチャ、っとオートロック式の玄関が閉まって。

ぽつん、と残されたのは手に残った食器と、テーブルに置かれた多すぎるくらいのお金。