「あ、モヒさんが気を利かせて純之助を背負いながら出てったよ楓も騒いでたみたいだけどもう見てられない!!!とか言いながら出てったし」
いやいや…何なんだこの状況は。
モヒさん変な気を回さなくていいから?!
しかも楓さんも見てられないとか、乙女か。
「っとゆことで?」
「!?」
ゆっくりと甘く優しい声で宏大さんは私に近づきながら「優しくするよ」
と言いながらどんどん距離を縮めてくる。
ソファを後ろへと後退するが、
「おっ、と危ない」
落ちそうになる私を咄嗟に宏大さんが抱きしめる形で支えた。
ドットッドッドッ、とまるで夏の和太鼓のように心臓が早くなる。
「すげえ音…意識してる?」
頬にゆっくりと手を添える宏大さんは恥ずかしさでそっぽを向く私の顔を自分の方へと向けた。

