それよりも問題なのが次から次へと訪れる台風だった。迷わず九州めがけて来るもの、沖縄に行くと見せかけて進路を変えて来るもの、その動きは様々だが繰れば町のどこかしらを破壊して消えていくのだ。それも洪水や土砂災害といったお友達まで呼び寄せる。唯一いい事があるとするならば、大学が休講になるくらいだ。

そんな毎年散々な目にあわせてくれる台風も、今年はまだ来ていない。おかげで爽やかな生活を送る事が出来ている。
今日も少し潮気があるものの、海から吹き上げてくる真新しい風を全身に受けながら、健太郎は大学への道を歩いた。