健太郎はバッグに漫画を押し込むと、ノブオの席へ駆け寄った。 「おっす!ノブオ!」 「おー、健太郎。お疲れ!やっと終わったな」 ノブオは右手を挙げて返した。 「ほんと、やっとだよ」 ノブオは大学に入って出来た最初の友達だ。物怖じしない性格と気を遣わないしゃべりが、僕の性格と妙に気が合ったのだ。初めて会うのにどこか古い友人のような、そんな不思議な印象を受けたのを覚えている。でも、知ってみれば、ただの能天気でお気楽な奴というだけであった。それと気が合った自分も同類という事だろうか……。