三人はしばらく炎を、女の最後を見つめていた。
すると、炎の奥に女と男の姿が見えたような気がした。その顔は哀しい顔にも笑った顔にも見えた。

「これで、全部終わったな」

健太郎がそうつぶやくと、突然周りに白い霧が立ち込め始めた。三人はそれぞれ顔を見合せ、最後に陽助の顔を見た。炎に照らされ明々と輝いている。そんな姿を見て三人が疲れた笑いを漏らすと、再びあの強烈な刺激臭が鼻をついた。それと共に全身の力が抜けていく。そして、三人は襲ってきた強い眠気にただ身を任せた。


僕達はどこから生まれどこへ行こうとしているのか、その答えはどうやら遥か未来にあるらしい。でも、たぶんそれを知ったところで大した変化はないだろう。僕は自分の意思で生まれ今を生きていると、そう思いたい。悩み苦しみ抜いた先に明日があるとしても、それならそれで構わない。生きるのに勇気なんて必要ない。自分で考え進む事で、僕の時間は動いているのだから。


---僕の価値は誰も決める事なんて出来やしない。だってさ、他に比べるものがないじゃないか。