健太郎は浮かれる気持ちを隠しながら、心理学の教室へと急いだ。一番嫌いな講義なのだが、しばらくあの馬鹿馬鹿しい話を聞かないで済むかと思うと嬉しい反面、卒業前のように寂しくも感じた。けれど、やはり嬉しい気持ちは底なしに溢れてきて、薄っぺらな寂しさなんてあっという間にどこかへ流してしまう。