ただ一つだけどうしても慣れないことがある。

それは、ニーナとのマンツーマンだ。

放課後は琢が部活に行き、スクールバスで通う若月も早い時間に学校を出る。

ニーナは市営のバスで通学しているため、学校から10分くらいのバス停まで歩く。


そのバス停までの距離が、徒歩で通う俺の通学路とかぶるのだ。

学校からわざわざ一緒に帰るわけではないが、道の途中で会ったりすると、やっぱり一緒に帰ることになる。


何が気まずいって、その空気だろう。

あいつが何を考えているのか、俺にはまったく読めないんだ。


飄々としていて掴みどころがないというか、会話をしていても本気なんだか冗談なんだかよくわかんねえし。

まあ別に、あいつの考えなんて読むつもりもないんだけどな。