小学5年生の調理実習があった日に、俺は風邪を引いて学校を休んだんだ。
その日の夕方、家のインターホンが鳴ったと思ったら、母さんは部屋で寝てる俺を玄関に呼び出した。
パジャマのまま玄関に出ていくと、そこには茜がいたんだ。さすがに俺もちょっとだけびっくりしたけど。
「学校のプリントと、これ少しだけどニーナの分」
そう言いながら、ラップに包まれた小さなパウンドケーキをランドセルから出した。
「茜ちゃん、寒いのにわざわざありがとう。隼も明日は学校に行けそうよ」
ケーキを受け取るとほんのりとうれしくて、思わず顔が緩んでしまった。
いや、笑っちゃだめだ。ごまかさないと。
「……俺、ブスが作ったものなんて食えねえよ」
言ってから、はっとしたがもう遅かった。茜は目を丸くしてからうつむいた。
「隼!なんてこというの!わざわざきてくれたのに。
……ごめんね、茜ちゃん」
「私だけじゃなくて、班の皆で作ったの。だからまずくないから……」
その言葉の終わりはずいぶんか細くて、あまり聞き取ることはできなかった。
当然、その後は母さんにこっぴどく叱られた。
わかってるし、俺だって言いたくて言ったわけじゃねーし。
そうだよ。ほんとは嬉しかったんだ。
その日の夕方、家のインターホンが鳴ったと思ったら、母さんは部屋で寝てる俺を玄関に呼び出した。
パジャマのまま玄関に出ていくと、そこには茜がいたんだ。さすがに俺もちょっとだけびっくりしたけど。
「学校のプリントと、これ少しだけどニーナの分」
そう言いながら、ラップに包まれた小さなパウンドケーキをランドセルから出した。
「茜ちゃん、寒いのにわざわざありがとう。隼も明日は学校に行けそうよ」
ケーキを受け取るとほんのりとうれしくて、思わず顔が緩んでしまった。
いや、笑っちゃだめだ。ごまかさないと。
「……俺、ブスが作ったものなんて食えねえよ」
言ってから、はっとしたがもう遅かった。茜は目を丸くしてからうつむいた。
「隼!なんてこというの!わざわざきてくれたのに。
……ごめんね、茜ちゃん」
「私だけじゃなくて、班の皆で作ったの。だからまずくないから……」
その言葉の終わりはずいぶんか細くて、あまり聞き取ることはできなかった。
当然、その後は母さんにこっぴどく叱られた。
わかってるし、俺だって言いたくて言ったわけじゃねーし。
そうだよ。ほんとは嬉しかったんだ。