もちろんすごくむかついていた。でも頭の中には好きって言われた事実しかない。俺も夢中になっていたんだ。


さやかはまだ先輩のことだって忘れているわけではない。

結局全てが中途半端なままなのに、綺麗事じゃ片付けられないということだろうか。


「どうせ部活辞めるって言うのも思いつきで言ったんでしょ?

だって両想いなのわかってたんだよね。俺がさやかから離れるわけがないって思ったんでしょ」


「……でもあたしのこと許せるの?」


「許す許さないじゃない。腹立ったけど、とにかく一緒にいたい。

ずっと両想いになること、俺は待っていたんだから。こっからは少しくらい、俺のほうがさやかを振り回してもいいでしょ?」


ずるい者同士、きっとうまくいく。

周りから見たらゆがんでいるのかもしれない。だけど俺らが良ければ、それが俺らの形になるんだと思うんだ。