「お、ニーナ弟じゃん」

振り返ると透と透の友達がいた。

「隼、一人か?」

「え、透、なんでいるの?」

「今年は隼に彼女いないみたいだしさ、ここ来ても邪魔にはならないだろ」

……こいつ、今まで特等席を俺に譲っていたってことかよ。


「ニーナ!チャッカマンよこせー」

「おい、バケツどこよ?」

ここで呼ばれるニーナはもちろん透のことだ。彼らは手持ちの花火セットを持っていた。

「透も彼女いないの?」

「うるせーな、フラレたんだよ」

「ほら、くっちゃべってねーで、ニーナ兄弟も準備しろよ」


手持ち花火も久々だ。俺たちは子供の頃に戻って、夜中まではしゃぎ続けていた。