「やっぱり、お言葉に甘えていいかな?」

……驚いた。さっきの話って二股のことだよね。

自分で言ったくせに、さやかがそのふざけた提案に乗るとは思わなかった。


「二股とかそんな重たいあれじゃなくて。

今日みたいにつらくなった時は、琢哉のとこ行ってもいい?

なんだろね、一緒にいたらほんとに心がほぐれたんだ。

もちろん琢哉にも好きな人できたり、琢哉が嫌になったりするまでだけど。

……なんか、私の都合って感じもするけどね」


「別にいいよ。さやかがそれで気が済むなら、俺もとことん付き合うよ」


こうなった以上、さやかへの気持ちは隠し通さないといけない。

だけど、構わないって思った。一緒にいられることを今は何よりも優先したい。


それに俺の気持ちを伝えてしまったら、この幸せが壊れてしまう事、分かってるから。