「あのさ、若ちゃんが心配するのもわかるけど、晴菜のことで落ち込んだり悩んだりしないでね。

若ちゃんが晴菜の後ろで笑っていたら、晴菜もつられて元気になるんだから。

聞いたわけじゃないけど絶対そう。晴菜は若ちゃんといる時は楽しそうだもん」


何もできずにもどかしい思いをしていた俺は、その言葉に少しだけ心が軽くなった。

そっか、俺にもできることあったんだ。


「ニーナ、やっぱコーヒー苦いわ。ミルクちょうだい」

「ほらな。だからお子様にはまだ早いんだってば」

「いちいちうるさいなぁ」


コーヒーの苦味とあおちゃんの言葉が、一緒に身体の中に染み込んでいく。

ミルクと砂糖をがっつり入れてかき混ぜたら、ようやくいつもの味に近づいた。


だけど喉の奥はやっぱり苦さが残っていて、なぜかちょっぴり切なさがこみ上げてきた。