琢ちゃんと別れ、外に出た頃には9時近くになっていた。

駐輪場で賢太くん達とも別れた後で、さりげなく石川を探す。


石川の家は俺らの住んでる市の隣の町だから、自転車で来ていることはまずない。

電車で帰るか、親に迎えにきてもらうかだろう。


外も暗いし、諦め半分でいたその時。

駐車場に石川はいたんだ。友達に手を振り、車に小走りで向かっている。


あ、もう帰るんだ。結局今日は話せなかったけど、最後に一目見れてよかったな。

その瞬間なぜか一瞬だけ、石川がちらっとこっちを見た。


うわわ、やべ。

俺はぷいっと慌てて目を逸らした。なんで今こっち見たんだろ。


暗くてそもそも俺に気づいてないかもしれないけど、都合のいいように解釈する。


もしかして、石川も俺を探してくれたりしてた?

こんなにたくさんの人がいて、しかも暗い中で目が合うなんて、たまたまな気がしないんですけど。


たった一瞬のこの出来事を忘れないように、帰り道で頭の中に何度も刻み込んだ。