若の言うことはもっともだ。俺もさやかにアドレスを聞かれたとき、もっと慎重になればよかったんだよな。

言い訳じゃないけど女子とメールできることに、ちょっとだけ俺も浮かれていたとこがあったし。


「琢ちゃん携帯鳴ってない?光ってるよ」

「……ああ、これはいいんだ。さっき親にメールしてたから、その返事だと思う」


画面を見ないまま着信ランプが見えないように、携帯を伏せてテーブルに置いた。


今からでも遅くないかな。俺もこんなことでもう悩みたくないし。

どうせ顔も知らない人だ。今晩、彼女とのメールを終わらせてしまおう。

そう決めたら少しだけ気持ちが軽くなった。


「そういえば最近2組で俺ら、渡部組っていわれてるらしいよ」

「なにそれ、うけるね!暴力団みたい」


「賢太くんに言ったら絶対機嫌悪くするよね」

「あの人最近ご機嫌斜めだもんね」

「確かにあの席は誰だって機嫌悪くなるわ」