小さい頃は歌が大好きだった。
何かの曲に心を打たれた訳でもなく、ただ自然な流れだった。
聞くことも、歌うことも。私の毎日は、歌で出来上がっていたんじゃないかと思ってしまうくらいに。
歌手を目指したのはいつだっただろうか。
あんなにも、私が何かに夢中になるのは初めてだった。
親に駄々をこねて、ボイストレーニングにも、ギター教室にも通った。
日々、夢に一歩ずつ近づくのを実感できたその頃は、毎日が輝いていた。
歌うことが嫌になったのは、中学の終わり頃だっただろうか。
父親の仕事が上手くいかない。
つきつけられた現実。
ガシャン!とガラスの割れる音で目が覚めると、深夜、誰も起きていないであろう時間。それなのにリビングに明かりがついているのを不思議に思い、そっと扉の奥を覗いたとき、お酒と共に頭を抱えている母親の姿が、今でも忘れられない。
「ごめんね、唄奈。本当にごめん」
必死に謝ってくる母親のその言葉に、私はただ頷くことしかできず、ボイストレーニングもギター教室もやめてしまってから、そう日がたたない頃。
今までやっていたことが一気になくなった喪失感で、勉強にも何にも手がつかず、リビングでぼーっとテレビを眺めていたところだった。
何かの曲に心を打たれた訳でもなく、ただ自然な流れだった。
聞くことも、歌うことも。私の毎日は、歌で出来上がっていたんじゃないかと思ってしまうくらいに。
歌手を目指したのはいつだっただろうか。
あんなにも、私が何かに夢中になるのは初めてだった。
親に駄々をこねて、ボイストレーニングにも、ギター教室にも通った。
日々、夢に一歩ずつ近づくのを実感できたその頃は、毎日が輝いていた。
歌うことが嫌になったのは、中学の終わり頃だっただろうか。
父親の仕事が上手くいかない。
つきつけられた現実。
ガシャン!とガラスの割れる音で目が覚めると、深夜、誰も起きていないであろう時間。それなのにリビングに明かりがついているのを不思議に思い、そっと扉の奥を覗いたとき、お酒と共に頭を抱えている母親の姿が、今でも忘れられない。
「ごめんね、唄奈。本当にごめん」
必死に謝ってくる母親のその言葉に、私はただ頷くことしかできず、ボイストレーニングもギター教室もやめてしまってから、そう日がたたない頃。
今までやっていたことが一気になくなった喪失感で、勉強にも何にも手がつかず、リビングでぼーっとテレビを眺めていたところだった。
