「お願い、あたしの気がすむまで抱き締めてて……」 小さな声で呟く実早が弱々しく見えた。 「抱き締めてくれたら……悠の事…諦める……」 目に涙を浮かべる実早。 「今だけ…だからな。」 そう言って実早の背中に手を回した。 「ありがと……大好き……」 実早はさっきよりも大きな声で言った。 「大好きだよぅ……」 実早の足が動いたと思ったら、実早は何かに滑ってバランスを崩した。 「キャッ!!」