哲くんはわたしの髪にそっと触れてとても愛おしそうにわたしを見つめてくる。


「出会う前なのに、俺たちそんな近くにいたんだな」


「すごいね!偶然だよね!」


偶然、というと哲くんはクスりと笑ってわたしをそっと抱きしめた。


「唯、偶然じゃないんだよ」


「偶然、じゃない?」


「そ。こういうのはね、運命、っていうんだよ」


見つめあうとゆっくりと互いの唇がゆっくりと近づく。


それが触れ合ったとき、仄かにチョコレートの味がした。


哲くんが飲んでいたチョコレートラテの甘い香り。


チョコレートよりも甘い甘い時間を、これからも貴方と過ごしていきたい。


ずっとずっと…。