一方で知らない男の子は切ない顔をしていた。 「俺、帰りますね」 そう言ってその男の子は立ち上がる。 「春希、いたのか」 知り合いなのかな。 名前…春希くんっていうんだ。 「あ、あの…、あ、ありがとうございました」 と私が言うと その男の子は泣きそうな顔で"おう"と言って病室から出て行った。 どうしてかな。 あの男の子を見てると少し苦しくなる。 知らない人のはずなのに。 どうして彼は私のこと知ってるのだろう。