瞳の先に。



七海の着信音が虚しく鳴り響いた。



俺はフラフラと七海の方に歩く。


「ちょっと君!」

「もうすぐで救急車来るから!」



周りの声なんて聞こえなかった。



七海の頬を撫でる。

頼むから目を開けてくれ…。

俺はお前がいないとダメなんだ。

いつもみたいに春希って言って笑ってくれよ…!





救急車が来て七海は病院に運ばれた。


残ったのは俺とうざいくらいの野次馬だけだった。