瞳の先に。



ただ誰かにそばにいて欲しかった。

屋上に来たのは自分なのに、一人になるとこの気持ちに押しつぶされそうだ。


"もしもし…ななみちゃん?"


優しい声。


「ごめんなさい…授業中なのに…」


"大丈夫、今屋上だから"


「え…?」


見渡すと寝ながら電話している先輩がいた。


「泣きたくなったらって言ったのに、泣いてるじゃん」


慌ててカーディガンの袖で涙をふいた。


"でも、電話してくれてありがとう"と先輩は優しく笑って私の頭を撫でた。