瞳の先に。



桜庭さんが春希の腕を掴んだ時、触らないでって、やめてって、思いながら見てた。

自分のものなんかじゃないのに。


あまりにもこの想いが一方通行すぎて涙が出る。


"泣きたくなったら呼んで"


先輩のその言葉が頭に浮かんだ。


バックから携帯の番号が書いてある紙を取り出して電話をかけた。