「そ、そーいえば!!春希は誰なのよ!」
「俺?だからお前だっ…」
「嘘はいいから」
春希の言葉にかぶせて言う。
「誰にも言うなよ」
「いうわけ無いでしょ」
「…吹奏楽のフルート吹いてる子」
「…は?」
「名前わかんねーんだよ」
「しゃべったことは?」
「1回だけ。
部活で怪我して保健室行ったんだけど先生いなくてさ、そのまま帰ろうと思ったらその子が来てさ」
「手当てしてもらったと」
「そう。先輩とお前みたいな感じだよ」
「それだけ?」
「めっちゃ心配してくれたし、手当て終わった後、お大事にねってにこってされた。可愛かった。」
「それで一昨日音楽室見てたんだ」
「な、なんで知ってんだよお前」
「保健室からサッカー場よく見えるの」
「まじで誰にも言うなよ!」
わかってるよと言って私はケーキを食べ始めた。
ぎゅっとフォークを握りしめた。
ケーキの味なんて全然わからない。
ただ食べていないと涙が溢れそうだった。
