新たな人生を模索して旅をする私。
これから何をして生きればいいのか
路頭に迷っていたその時、
かすかにバターのいい香りが鼻を
通った。
私は、その匂いを追うようにたどって
いった。

そして、その先にあったのは、
小さなカフェ。
名前は、ドルチェ。
入ると、色とりどりの可愛いお菓子が
並んでいた。
お菓子を眺めていると、
お店の人が、尋ねた。
「いらっしゃい。今、バタークッキー
が、焼き上がったんだけど、おひとつい
かが?」
そう言われて私は、焼きたてのバタ
ークッキーを1つ口にいれた。
香ばしくて、サクサクとした優しい味
がした。
知らない間に涙が私の目には、たくさ
ん溜まって溢れだしていた。
このクッキーの味は、母がいつも
おやつに焼いてくれていたクッキーの
味と同じだった。
クッキーを食べている間は、
母を感じることができて、とても幸せな気持ちに
なることができた。

すると、お店の人が私に言った。
「私のクッキーを食べて泣いてくれた
人は、初めてだよ。
なんか、とっても嬉しいな。
それと、私の名前は、オリビアよ。」

私もそれに答えるように自己紹介をし
た。

「私の名前は、マリー。
このクッキー、亡くなった母がよく作っ
てくれたクッキーの味にそっくりで、
なんか、思い出しちゃって。
あの、、、もしよかったら
ここで働かせてもらえませんか?」

とっさに働かせて欲しいとといってしま
った私。

返答なく戸惑っていると、やっとオ
リビアが口を開く。
「あのね、気持ちは、嬉んだけど
ここは、小さなカフェだし、あまり給
料は、出せないの。だから、、、。」

オリビアに断られてしまったマリー。
でもここで諦める選択肢は、マリーに
はなかった。

そしてマリーに大胆にも
無給でいいから働きたいと申し出るの
だった。
それを聞いて、困惑するオリビア。
少し考えて言った。
「じゃあ、無給のかわりに
住まいと食事つきで、今日から一緒に
働きましょ!」
マリーは、両手を上げて喜んだ。

オリビアのおかげで、住まいも決まり
落ち着いた生活を送ることができるようになっ
たマリーは、
近況を聞くためにカルファおばさんに
手紙を書いた。


カルファおばさんへ
お元気ですか?父は、どうしてます
か?私は、旅の途中に不思議な出会
いがありました。
でもまだまだ人生を模索中です。
またお手紙書きます。
どうかお元気で。

マリー