「じゃあさ、バンド組もうよ。」

「へ?」

真剣な表情から出た言葉に思わず変な声が出てしまった。

「そ、爽太?」

「うん。バンド組めばいいんだよ。今は無理でも同んなじ高校入ってさ、軽音部でも入ってさ。」

興奮気味に目を輝かせて爽ちゃんは言った。

「(グズッ)爽太?3人で組んだとして、3人ピアノとかキーボードとかやるの?」

「大丈夫。俺、ベース弾けるから。それに春歌はギター弾けるでしょ?」

「うん。弾けるっちゃ弾けるよ。」

「え?!そうなの?」

話は思いがけない方向へと進んでいく。

「爽太、高校はどこに行くの?それぞれ頭の善し悪しもあるだろうし……」

「うーん……。」

「あ!あそこは?」

「柊ちゃん、私でも行けるところじゃないとダメだよ?(笑)」

「た、多分大丈夫だよ。あの……ほら、あそこ。星ノ原高校。」

「確かにあそこなら色々学科があるから……」

「じゃあ決まりだな。」

「そうだね」

「ん。」 と、爽太が小指を身の前に差し出してきた。

「何?爽太?」

「何?って約束。高校でバンド組む話。今どきあれだけど、指切り。」

「絶対やろうな!」

「うん!」

そして私達は小さいようで大きな夢を約束した。