ステップ・アップ

「いったい、何を考えているのー!」

その怒声は、控室のフロアに響き渡るかのような
雷に近い怒声だった...
私だけではなく、
同じ事務所に所属している先輩も後輩も同じように
怒られる。私達は「いつものあれ」とよんでいる。

「体調が悪いわけではなく、仕事を4ヶ月も休業に
するなんて この業界が始まって以来の前代未聞よ!」

「申し訳ありません、月宮社長がハードスケジュールで
忙しいと聞いていたものだったので
椿さんに先に事情を話してしまいました。
どうしても4ヶ月でやりたい事があったので...。」

「別に休業をとる事に対して怒っているわけではないの。
良い?レイナ...あなたには 4ヶ月後に舞台主演の
オーディションがあるのよ!間を空けると言う事は
どれほどリスクが高いのかは わからないわけではないでしょ。」

月宮社長がここまで、一生懸命に言っているのには
訳がある。私がこの事務所に来る前までは 経営が困難と言う所まで来ていた。その絶対絶命の時に
私がやって来た。
どん底まで落ちた自分の心を立ち上がらせたのは
私の表現力だったと 
以前に椿さんから教えてもらっていた。
月宮社長は夢と希望を与えてくれた私を
大切に思っているからこそ ここまで怒ってくれている
私はそう感じていた