「隼人くんー、帰ろ~」


ふと茉莉の声が聞こえた


「おう、高宮じゃあな」


「あ、うん!」


もういっちゃうのかー、もっと話したかったな…



「茉莉と橘って本当お似合いよねー」


誰かがそう言うと茉莉は少し顔を赤らめていた。



仕方ないよね
橘の彼女は茉莉だから


また、さっきと同じ胸の痛みを感じた。


「はぁ…」



「なに、杏里がため息とかめずらし」


後ろから聞こえてきたその声の正体は


横山 咲月 (よこやま さつき) だった。


「横山くん…?ってなれなれしく呼び捨てしないでよ!」



横山くんと初めて話したのは3日前の事。


友達に誘われていったカラオケに偶然いた。











「なれなれしくって、俺達ってゆーそー仲じゃん?」


え?何言ってんのこの人


「は!ふざけないでよ!」



「冗談、冗談!なにむきになってんの?」


むかつく!
こんなのが学年で1番モテるなんてありえない!



モデルさんみたいにすらっとのびた足、茶色がかった髪に、
ぱっちりした二重、透き通った茶色い目


かっこいい?と聞かれたらもちろんかっこいいけど


中身がこんなに最低なんだから!

横山くんのこときゃーきゃー言ってる
女子達に言いたいくらいだわ