目線は姫の指先に落としながら、魔女はプレゼントを取り出しました。

雪の結晶を固めたような、そんな形のイヤリング。


「まぁ、綺麗……!」


魔女が雪から作った美しいイヤリングを見て、ほぅ、と感嘆のため息を漏らしました。


「ありがとう!」


嬉しそうなお姫さまに、魔女は一礼をしてその場から去りました。


そのとき魔女がボソッと呟いた言葉は、お姫さまにも、他の誰にも届いてはいませんでした。


「あなたに、わたしと同じ世界を……」


大広間から出るその瞬間、表情のなかった魔女の顔にはうっすらと笑みが浮かんでいました。


魔女は城から出ると、足早に出てきた森へと戻り、また魔法で元の世界へと帰りました。