キョロキョロと辺りを見回しながら魔女が歩いていると、そのうちお姫様のいる大広間にたどり着きました。

兵士が大声で呼び掛けます。


「姫へ贈り物をする者は、ここへ並べ!」


ぞろぞろと人々が並んでいくなかに魔女も混ざっていきました。

列はどんどん進んでいってお姫さまが見えてきます。

絵本にあったように、目が眩むような美しさです。


魔女は贈り物を持って前に進んでいきます。

そして、とうとう魔女の番になりました。


「こんにちは。今日は私のためにありがとう!」


お姫さまは愛らしい声で、そんなことを言いました。

きっと、訪れた全ての人に言っていたのでしょう。

多くの人は、少なくともこの国の民であれば、その言葉を喜んで受け取れたのでしょう。


けれど魔女は、その言葉に少しの居心地の悪さを感じました。


それでも、プレゼントを渡すために顔をあげました。


すると、お姫さまと目が合いました。

透き通るような空色の瞳に、魔女はぱっと目をそらしました。

ずっと見てるなんて耐えられなかったのです。