そして、もう一度ぎゅっと抱きしめてから、離れます。
 

 
「あのね、ネリネ。」
 
「なあに?」
 
「私、結婚することになったの」
 
「だれと?」
 
「あのとき、私を迎えに来た将軍と」
 

 
ネリネがハッキリと寂しそうな顔になったのが分かりました。
 

 
「お姫さまは、その人、好き?」
 
「……嫌いでは、ないわ」
 
「好き?」
 
 
お姫さまは、もう何も言えませんでした。
 

ただ、ほろりとこぼれ落ちた涙を隠すように、もう一度ネリネを抱きしめて、その肩に顔を埋めました。