そんなお姫さまに、魔女はしばらく考えてから、こう言いました。
 

 
「…………ありがとう」
 

ふわりと笑った顔に、お姫さまは目を見開きました。
 
そして、すぐに一緒にふにゃりと笑いました。
 
 
「お姫さま、帰らなきゃいけないんだね。」
 
寂しげに言う魔女に、お姫さまは心が痛むのを感じました。

 
「魔女さん、」
 
「なに?」
 
「また、会えるかしら。」
 

その言葉を聞いて、今度は魔女が驚きを露わにしました。
 

「また、会いたいの?」
 
「ええ、会いたいわ。大切な友人だもの。」
 
「そう……」
 
微笑んでそう言うお姫さまに、少し嬉しそうに笑い返して、魔女は言いました。

 
「じゃあ、わたしに名前をちょうだい。」
 
「名前?」
 
「うん、きっとわたしとお姫さまを繋げてくれる。」
 

武装した男たちは、すぐそこまで迫ってきています。