「せっかくだもの、着けてみようかしら」


お姫さまは、そっとイヤリングに触れました。

すると、指先にヒンヤリとした感触が伝わってきました。


「本当の雪みたい……!」

お姫さまは驚きました。
それと同時に感動もしていました。


ヒンヤリとしたそのイヤリングをゆっくりと手に取り、鏡の前まで行って耳に着けます。



すると……─────────

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


両耳にイヤリングを着け終えた瞬間、お姫さまの体は冷気に包まれ、足下から吹いてきた強い冷風に呑み込まれてゆきました。


「だれか………………」

呑まれる直前に見えた片手を掴むことができた人は、誰もいませんでした。