元の世界に戻って魔女が最初に感じたのは“安心感”でした。


あれほど光に憧れ、嫉妬したのに、やはり安心してくつろげるのは、太陽の姿が見えない灰色の空と、美しく冷たい雪の中なのでした。

ほっと一息ついた魔女は、全身を覆っていた薄氷を解きました。


「……光は、……痛い」


ぼそっと呟いた魔女にとって、陽の光というのは、自分の肌をただれさせる嫌なもの。すぐに回復はするけれどやはり痛いものは痛いのです。

魔女にとって陽の光は害悪でしかありませんでした。



「なぜ……、」

みんなはこんな痛みに耐えていられるのだろう……?


魔女は不思議でなりません。

今度お姫さまに会ったときに訊いてみようと思いました。