私を見つけて

翌日、図書館に向かうと、私はアキの後姿に声をかけた。

振り向いたアキは私を見て、くすくすと笑った。

「どうした? まじめな顔しちゃって」

その笑顔を見ると、どう切り出していいかわからなくなってしまう。

伝えなくちゃ、という焦燥感にかられて私はゆっくり口を開いた。

「たぶんね、明日これないと思う」

明日からかどうかはわからないけれど。
いつこれなくなってもいいように、きちんとさよならを言いたかった。

「なんか、用事?」

アキは笑顔のままで明るく訊ねた。

「ううん、明日だけじゃなくて、これからも」

今度は、え?と言ったきり、私をじっと見つめた。

「だから、お別れを言いにきた」

「なんで……?」

適当な嘘をつこう、と私は思っていた。
引っ越すからとか、学校が忙しいからとか。

でも。

「私、幽霊なんだ」

怖がりなアキのためにつこうと思っていた嘘ではなくて。
怖がられてもいい。

本当のことを伝えたい、と思った。

「……え?」

アキは半分笑ったまま、聞き返す。

「幽霊?」

うん、と私はうなづいた。