私を見つけて

「さくらは」

アキはチョコレートの箱をリュックにしまった。

「誰かにあげなかったの?」

「なにを?」

「なにを、って。チョコレートを」

私は納得して、ああ、と笑った。
バレンタインデーのチョコレート。

「あげてないよ」

「あげたいやつとか……いないの?」

チョコレートをあげたい人。
私が気持ちを伝えたい人。

「……いないよ」

本当はいるけど。
どうせあげられないし。

「いないのかよ」

アキは曖昧に笑って、窓の外を見た。
つられて私も窓の外を見る。
雪で真っ白になった外の世界。
木の枝に積もった重たそうな雪。
足跡のついていない、真っ白な地面。

雪だるまを作りたいな、と急に思った。
子どもみたいだって自分でも思うけれど。
アキと。
雪だるまをふたりで作りたいな。

叶うことなんてないけれど。

「俺は」

窓の外を見たまま、アキが言った。

「さくらからもらいたかったな」

雪が降り積もる。