俺はもともと体が弱くて その上、 平熱が人より高くて 走ることも 遊ぶことも 病院から出ることさえも 許されなかった。 生まれてからずっと 病院からの景色しか知らない。 知っていたとしても、自分の目で見たことはない。 …当然だ。 俺は病院と呼ばれる真っ白の建物から 出たことがないんだから。 かわいそう、とよく言われるが 俺にとってはそれが普通で そのことになんの感情も抱いていなかった。 大きな大学病院の一室 それが俺の全てで それが俺の世界だった。