「えっ……こん…やく…?」
「あぁ。大手ホテルチェーンの財閥と
提携することになったんだ。
美麗にはそこの御曹司と婚約してもらう。」
食事のあと。
いつものようにピアノの練習をしていると
お父さんに話があると言われた。
聞くと、私の婚約が決まった、とのことだった。
「嫌なら断っても良いのよ、美麗。」
あからさまに動揺する私を心配してか
優しく肩に触れてお母さんが言った。
だけど、お父さんの表情は変わらない。
この前、たまたまうちの事務所に行った時に
チラッと社員さんが話しているのを聞いた。
うちのホテル業が上手くいってない、と。
大手ホテルチェーンに顧客を奪われていて
思うように成果が上がっていない割に
莫大なコストがかかるため、
このままだとそのホテル業が
うちのグループの足かせになる。
恐らく、ホテル業を諦めるか
どこかと提携するか、どちらかだろう、と。
本当だったんだ、、、
あのおじさんたちの話は、、、。