俺には好きな人がいる。
遠い記憶の中の彼女に俺は、
もう10年以上片想いしているんだ。
記憶の中の彼女は
いつも笑っていた。
どんな時も笑っていた。
無愛想で
周りと馴染めなかった俺を
その笑顔が包み込んでくれた。
素直になれない俺の側にはいつだって
彼女の笑顔があった。
だけど俺が東京に引っ越すことになった時。
初めて彼女の涙を見た。
「…爽っ…ひっく…元気でねっ…」
そしてその涙を見て
俺は気づいたんだ。
俺は彼女が大好きなんだ、と。
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