奏多と他愛もない話をしていたその時。



「岸野!ちょっといいか?」



突然担任の先生に呼ばれた。



「あ、はい。」






そして俺はなぜか校長室へ。




校長室なんて滅多に来るところじゃないし…


俺は恐る恐る校長先生に聞いた。


「あのー……なんですか…?」




「ほら、見てみなさい。」


そう言って校長先生はテレビをつけた。




『…えー、速報です!先ほど、
日本新人俳優賞、女優賞の発表があり、
俳優賞の方は今まさに話題の岸野爽さんが
選ばれました!
続いて女優賞の方は……』





「えぇっ…!?」



お、俺が…日本新人俳優賞……!?





「おめでとう、岸野くん。
突然で申し訳ないが、この後の集会で
このことについて一言、話してくれないか?」




「えっ…いや、あの…
俺も今これ知ったんですけど…」




「そりゃあそうだろう、今発表されたんだから。
面白いことを言うね、岸野くん。
ハッハッハッ…」




「ははは…はは…」




いや、笑えねぇ…!!



ぜんっぜん笑えねぇよっ!



こんなことなら朝から学校なんて
くるんじゃなかった…!!


仕事入れといて貰えば良かった…!




そんなこんなで俺は

新学年の初日早々、講堂で全校生徒前に
立たなければいけなくなったのだった。