「…懐かしいわね。」
「えっ、びっくりした。お袋か。」
「…爽ちゃんもあぁやって言われてたわよね、
中学1年生になる日の朝。お父さんに。」
「あぁ。
なんか…蓮に悪いことしちまったかなぁー。
俺がこの仕事にやり甲斐を感じちゃって
医者になれなくなっちまったから。
だから…蓮があぁやって…。」
俺が普通に高校に進学して、
普通の高校生だったら、
きっと親父は蓮にあそこまで厳しくしなかった。
もちろん、蓮だっていずれは
医者を目指すようになってたんだろうけど、
きっとあそこまで親父からのプレッシャーを
感じなくて済んだと思う。
「…それは違うわよ。」
「え?」
「もちろん、蓮ちゃんはこれから
ものすごく大変なんだろうけど…。
爽ちゃんだって、立場は違えど
大変なのは同じよ。
きっと、爽ちゃんにも
これからお仕事をしていく上で
たくさん試練が待ってると思うわ。
だから爽ちゃんは、
お仕事と勉強の両立を頑張れば良いのよ。」
「お袋…。ありがとう。」
そして俺は準備を済ませ、
学校へと向かった。