私は振り向かずに無言で右手を上げ、そのまま裏庭を歩き、この家の敷地内を速(すみ)やかに出て行った。

 六十歳にもなって、一人の少女相手に、何をカッコ付けてるのかと思う。

 幼いとはいえ、異性と会話を交わしたのが久々だからだろうか…。