ざわざわとうるさい廊下も、廊下に並べと指示を出す学級委員の声も いつもと同じ、変わった様子なんてどこにもない。 なのに、私の心臓は一切落ち着きを見せなかった。 「千花、じゃあ渡しとくね?」 「うん、莉緒ちゃんありがと」 千崎莉緒ちゃんは私から白くて小さな紙を受け取ると、じゃあ、と言って教室に入っていった。 「はぁ…」 ため息をついた私は寒さで少し悴んだ手をほおに当ててみた。